「ああっ、なんということでしょう! この罪は嘘です! 彼女の優しくもありそして勇気ある、せいいっぱいの嘘です! しかし最早、この裁きを認めざるを得ません!」

 東堂が嬉々としてナレーションで繋ぐ。

 するとそこでアシスタントディレクターが腰を低くして、こそこそと東堂に近寄り、小さなメモ紙をさっと渡した。放送中にはときどきある、緊急のニュースだ。

 東堂はそれを開いて中を確認すると、すこしだけ目を丸くして、それから観客を見上げて言葉を選んでいう。

「……会場の皆さん、それからこのテレビをご覧の全国の皆さん、突然の通知で大変申し訳ないのですが、皆さんもご存知の強力な磁気嵐ですが、どうやらあと三分で地球を直撃するそうです。それも太陽が真上にありますので、最も影響を受けるのはこの日本だそうです」

 会場がざわめき立つ。いや、日本中きっとそうだ。かつてない磁気嵐、それが地上に降り注げば何が起きるかは予測不能。しだいに絶望の泣き声や叫び声が会場の至る所から湧き起こり、

 しかし藤堂はそれを諫めるかのように、皆に語りかける。