するとあかねは会場を見渡し、皆に視線を送りながら叫んだ。

「みんな、あたしは『高槻 しおん』にされたことがいっぱいあります」

 その声に会場はしーんと静まり返る。皆があかねの告白に興味を持ったからだ。けれどもそこに続く言葉が予想できた人などいるはずがなかった

「高槻 しおんはあたし、末広 あかねに夢を見させてくれて、恋を教えてくれました。馬鹿がつくほど純粋で、馬鹿がつくほどひたむきで、馬鹿がつくほどあたしのことを好きでいてくれました。
 みんなは高槻 しおんを変人っていうけれど、あたしは高槻 しおんのいいところをいっぱい知ってます。
 サイバー犯罪で忍び込んで政府の秘密を盗み、あたしの心に忍び込んで恋泥棒した極悪人、高槻 しおんに与える裁きは、『この世界の終わりを末広 あかねと迎えること』です。
 他の誰と一緒にいることも、警察に捕まって会えなくなってしまうことも許さないんだから!」

 しんと静まり返る会場。あかねの澄んだ声が青空の下に響き渡る。

「ねっ、これでいいでしょう? この番組での裁きは、法律でも覆せないんですよね」