しおんのすらっとした脚が自由になる。それからあかねは藤堂に声をかける。強い意志の眼差しだ。
「手伝っていただきたいんです、いいですか」
藤堂はあかねとふたりでテーブルを十字架のとなりに移動させる。あかねはそのテーブルの上に乗って手を伸ばし、しおんの手首を縛りつける麻縄をていねいに切り、腕を自由にする。
するとその異変を見ていた会場の観客は、しだいにざわざわと騒がしくなる。
「何やってるんだ、あの女の子とキャスターは」
「犯人が暴れちまうだろうが」
そんな不安や期待外れ、それに疑念の声が飛び交う。
両腕が自由になった瞬間、しおんは波に攫われた砂の城のように、舞台の床にドタドタッと崩れ墜ちた。
「しおんくん、大丈夫!?」
あかねの声は胸元につけられたワイヤレスマイクを通じて、会場の四方に設置されたスピーカーから響き渡る。
「ああ、大丈夫だ」
テーブルに手をかけしおんは辛うじて立ち上がった。あかねは倒れそうなしおんをそっと抱きしめ支える。
会場はブーイングの嵐。
「あの女の子、早く殺さないのか」
「あいつは犯罪者なんだろ、何やってるんだ」
「手伝っていただきたいんです、いいですか」
藤堂はあかねとふたりでテーブルを十字架のとなりに移動させる。あかねはそのテーブルの上に乗って手を伸ばし、しおんの手首を縛りつける麻縄をていねいに切り、腕を自由にする。
するとその異変を見ていた会場の観客は、しだいにざわざわと騒がしくなる。
「何やってるんだ、あの女の子とキャスターは」
「犯人が暴れちまうだろうが」
そんな不安や期待外れ、それに疑念の声が飛び交う。
両腕が自由になった瞬間、しおんは波に攫われた砂の城のように、舞台の床にドタドタッと崩れ墜ちた。
「しおんくん、大丈夫!?」
あかねの声は胸元につけられたワイヤレスマイクを通じて、会場の四方に設置されたスピーカーから響き渡る。
「ああ、大丈夫だ」
テーブルに手をかけしおんは辛うじて立ち上がった。あかねは倒れそうなしおんをそっと抱きしめ支える。
会場はブーイングの嵐。
「あの女の子、早く殺さないのか」
「あいつは犯罪者なんだろ、何やってるんだ」