「東堂さんのような美人な方にとって、恋って何ですか。あたしはいつも自分が東堂さんみたいな美人だったらいいなと思っていたんです。自分に自信がなかったので……」

 えっ、とすこし驚いた顔をする。それからふっと口元をほころばせて東堂はこういう。

「恋ねぇ……私にとっては冒険みたいなものかしら。恋は自分を知らない世界に連れて行ってくれて、自分を育ててくれる。勇気をもらえたり、元気をもらえたり、未来をもらえたり。
 ……そして、時には悲しい気持ちもね」

「えっ、東堂さんもうまくいかないことってあるんですか?」

「誰だって同じよ、うまくいくこともあれば、そうでないこともあるわ。……私、ほんとうは愛する人と一緒に世界の終わりを迎えたかったんだけどね。今はそんな人がいないから……仕事が恋人かな?」

 そういってくすっと笑みを零す。あかねはその微笑みに緊張の糸がほぐされた。

「あの……東堂さん、この放送の進行中、あたしがもしもおかしなことを言っても、中断せずそれをちゃんと実行してほしいんです」

「えーと、それはどういうことかしら?」

 藤堂は不思議そうな表情をみせる。