あかねは小さくうん、とうなずき父と別れ、打ち合わせのための小さな会議室に足を踏み入れた。

 そこで待っていたのはワンレンの髪にまぶしい二重の女性。凛とした立ち振る舞いを目の当たりにするとテレビ越しよりもずっと美しく見えた。かの有名なお茶の間のアイドルと言われたキャスターさんだ。
 
 東堂さん、はじめまして。今日はよろしくお願いします。東堂さんのことはテレビでいつもお見かけしております。

 そういって深々と頭を下げる。

「ああ、なたが今回のゲストなのね。辛いことがあったのね。でもあなたの好きにしていいのよ、もうすぐ世界は終わってしまうんだから」

 気遣いと悲しみを含んだ笑みを浮かべる東堂。あかねはううんと首を横に振り、それから東堂と向かいあって背筋を伸ばし、おもむろに口を開く。

「あの、あたし、東堂さんにお聞きしたいことがあるんです」

「うん、なあに? この際だからなんでもいいわよ」

 顔のぞき込んで、そういう東堂は優しい目をしていた。あかねはためらいながらも藤堂に問う。