「ま、まさかよ……そんな、まさか」
ちくちくと針を動かしながら、レティシアは今日何度目になるかわからない呟きを漏らした。目の前の机には、一通の手紙が置かれている。差出人の名は、エルヴェ・グランジュ——ついひと月ほど前、レティシアに何を血迷ったのか求婚もどきをしでかした男である。
——も、もどきよ……あんなの、求婚とは認めないわ……!
ふん、と鼻息を荒くしながら、手紙の文面に再度目を通す。
そこには、聖騎士選抜の第一関門である筆記試験を突破した旨が記されていた。それから、ずうずうしくも第二関門に挑むに当たって、レティシアのお手製のお守りが欲しいとも書かれている。
「ほ、ほんとにずうずうしいったらないわ……!」
そう言いながらも、大人しくお守りを作っているのは、そりゃあ彼に難癖をつけられないようにするため。そう、そのためだ。
レティシアがお守りを作って渡さなかったから、第二関門の実技試験をくぐり抜けられなかった、などと言われたら困るから。
ちくちくと針を動かしながら、レティシアは今日何度目になるかわからない呟きを漏らした。目の前の机には、一通の手紙が置かれている。差出人の名は、エルヴェ・グランジュ——ついひと月ほど前、レティシアに何を血迷ったのか求婚もどきをしでかした男である。
——も、もどきよ……あんなの、求婚とは認めないわ……!
ふん、と鼻息を荒くしながら、手紙の文面に再度目を通す。
そこには、聖騎士選抜の第一関門である筆記試験を突破した旨が記されていた。それから、ずうずうしくも第二関門に挑むに当たって、レティシアのお手製のお守りが欲しいとも書かれている。
「ほ、ほんとにずうずうしいったらないわ……!」
そう言いながらも、大人しくお守りを作っているのは、そりゃあ彼に難癖をつけられないようにするため。そう、そのためだ。
レティシアがお守りを作って渡さなかったから、第二関門の実技試験をくぐり抜けられなかった、などと言われたら困るから。