俺の名前は羽藤柳也(はとうりゅうや)、白鷺学園高等部の2年。
めずらしく朝早く学園に登校すると女子たちが雑談に花を咲かせている。
「あの丘の上のつぶれた教会、夜になると女の子が現れるんだって」
「えぇ、それって幽霊かな?幽霊って怖~い」
「うんうん、近場に幽霊が出るなんてなんか怖いね」
学園の女子の中で話題になっていることの1つに丘の上にある教会裏に少女の幽霊が現れるという噂がある。
「なぁ柳也、聞いたか丘の上の少女の噂」
そう聞いてくるのは俺の友人である白穂柚明(しらほゆずあき)。
1年の秋に転入してきたやつで変わり者。
転入当初は恐ろしい噂もあったが蓋を開けてみたら変態に振り切った楽しいやつだ。
「あぁ、幽霊の話だろ?女子の中では話題になっているらしいな」
なんでも夜になると教会の丘に少女が現れるらしい。
幽霊?俺からすればまったくもってくだらない。
噂なんて面白おかしく尾ひれがついていくもんだ。
幽霊がいるという保障もなければ少女がいるという点さえもあやしい。
「なぁ柳也、今度一緒に確かめに行こうぜ」
確かめるもなにも、どこにだれがいようと俺には関係ない。
「行かねぇよ、俺はそんなに暇じゃないからな」
「本当にお前はつれないな」
うるせぇよ。