「さて甘いものも補給したし今度はどこへ行きたい?まだまだ時間はあるからな」
「りっちゃん、私のお口はたい焼きの気分なんだけど」
「お前はいつも何か食べようとしているな、ちょっと黙っていろ」
「・・・いいと思います、・・・たい焼きも・・・いいと思います」
「おい梨乃のせいで梨夜が感化されたじゃないか」
「ぇぇ私のせいじゃないもん、これはたい焼きの魔力なんだよ」
そんなこんなで校舎の外で売られているたい焼きを買ってみんなで食べた。
「たい焼きは美味しいよね?小倉にカスタード、餅入りのやつ、梨夜ちゃんはどれにするの?」
「小倉・・・ですね、・・・王道ですから」
「梨乃はあまり食べられないんだから食べていいのは1個だけだぞ」
「えぇ~、りっちゃんのけち」
「お前は食べるのも遅いし食も細いんだから2個も買ったら絶対残すだろうが!」
「ぬぅ~わかったよ、じゃあお餅のやつだけで我慢するよ」
・
・・
・・・
「ほれ買ってきたぞ、梨乃は餅のやつで梨夜は小倉だったな」
「りっちゃんは何を買ってきたの?」
「俺はチョコレートだ、あんこは先輩のところで食べたしな」
「美味しそう、ちょっとちょうだい」
「嫌だ、欲しいなら自分で買って来い!」
「りっちゃんのけち!」
もぐもぐとたい焼きを食べる。出来立てだったらしく熱いからゆっくり食べていると
「梨夜ちゃんも私の食べる?美味しいよ」
そう言ってたい焼きを渡してくる。
「こ、・・これって・・・間接キッスなんじゃ・・・」
「そんなの気にすることじゃないと思うよ。嫌なら大丈夫だけど美味しいものは独り占めしないでみんなで食べたいからね」
首をぶんぶんと横にふる。
そしておそるおそるお餅入りのたい焼きに口をつける。
ぱくっ。
口に広がるお餅と小倉の味。たい焼きとしては珍しい味に驚きましたがそれ以上に間接キッスをしたという事実に味はよくわからなくなりました。
「やっぱり美味しいものはみんなでわける方がいいよね」
にっこり笑う梨乃さん、発言は残念なことも多いけれど優しさがあふれていてあたたかい。
本当に梨乃さんみたいなお姉さんがいてくれたら良かったのにと思える。
梨乃さんはいつも正直で屈託のない笑顔を向けてくれるしてくれる。
私が出会った方の中でも素直という観点で見れば先輩と梨乃さんは群を抜いている。
ただし先輩はクールで飾らない系。もちろん言葉の1つ1つに優しさを感じることは出来るけれど梨乃さんの言葉は優しく包んでくれるイメージ。
「まだまだ楽しもうぜ?そういえばそろそろ風紀委員会の出し物が体育館であるから行くか?内容は風紀委員会の活動についてとかいう面白くはなさそうだけど鬼姫様には世話になっているしな」
「りっちゃんが風紀委員会なんて堅苦しそうなところに行こうなんて明日は雨なのかな?」
「柳也さんも私も・・・詩依さんと先輩に勉強を教えていただいておりますから」
「ふ~ん、りっちゃん、委員長の前で粗相だけはしないでね」