「梨夜ちゃん、たんぽぽさんのお話はどうだった?色々なお話があるけれどこういったハッピーエンドのお話が良いよね?」

「梨乃さんは・・・たくさんのお話を知っているのですね」

「にゅふふ、たくさんというほどじゃないけれどこういうお話は好きだから」

相変わらず独特の笑い方をする方ですがすごく物知りなお姉さん。
もし私にお姉さんがいたら梨乃さんみたいなお姉さんが良かったな。

「たんぽぽさんもお月様と一緒でずっと孤独だったんだよ。孤独なものどおし幸せになれたというお話。とくにたんぽぽさんは嫌われていたけれどどんなものでも強く願えば叶う夢もあるという教訓もあるお話なんだよ」

「嫌われて者でも・・・願う権利はあるのですか?」

「あるよ、嫌われ者じゃなくても誰でも、ね。願うことは誰にでも平等に与えられた権利だよ。梨夜ちゃんは何を願うのかな?」

「私・・・ですか・・・」

梨乃さんにはすべてを見透かされているよう。
すべてを見透かした上で聞いているのでしょうか?
それともそれは私の思い違いでしょうか?

ただ1つ言えることは梨乃さんの笑顔は決して私を責めるものではなく、純粋にこれからどうしたいのかを聞いているということ。

「じゃあそろそろ私は帰るね。今日もお話を聞いてくれてありがとう、梨夜ちゃん」

「あ・・・はい、お休みなさい」

またお話を聞いてくれたら嬉しいな、梨乃さんはそう言い残し帰っていきました。

私は何を願うのか・・・。

梨乃さんは私が願っていることが叶っていっていることに気づいていらっしゃるのでしょうか。

私が願ったもの以上のことを与えてくださっていることに気づいていらっしゃるのでしょうか。