その昔、まだお婆様が生きていたころの話。

私はお婆様と一緒に教会裏の丘の上に来ていた。

夜の丘はお婆様のお気に入りの場所。

月がよく見える丘の上、お婆様は色々なお話をしてくれた。

日本や世界の昔話、各国の言い伝えや伝承。

その中でも好きな話があった。


人の心を読む力を持った人のお話。

内容は本当にたいしたことはない。

人の心を読み取って悪事を裁いていくだけのお話。

それでもそのお話が好きだった。

私にとってその人は憧れでした。

人の心がわかるならその人が願うこともわかる。

その人が悪事を働いていてば裁くことが出来る。

なんて素敵な力なのでしょう。


なのでお婆様に言いました。

私もその力がほしい、と。

お婆様は優しく言いました。

願えば叶うさね。

お星様に何度も願えば、叶わない願いなんてものはないさね。

私は満天の星々に願いました。

人の心がわかる力がほしい。

人の心がわかれば素敵な世界が待っていると信じて。

それが私が犯した罪。

自分の身の丈以上の願いをしたことへの罰とともに生きることになった。

願うことが罪ならば生まれくることさえ罪なのでしょうか。