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全校生徒や先生方の前であれほどの弁論をするその度胸、多少の波乱はありましたがおそらく今回の集会は成功と呼んでも差し支えないでしょう。
「あのぉところで反省文ってどれくらい書けば良いのでしょうか・・・」
完全に手が止まっている羽藤さん。
「そうですね、原稿用紙5枚くらいでしょうか。それ以上多くてもかまいませんが、だらだら文字を稼ぐようなことはおやめくださいね」
「5、5枚!」
「詩依、今回の集会は傑作だったね。動画として残しておきたいくらいだったよ」
「先輩!部屋に入るときはノックをしてくださいとあれほど」
「まぁ細かいことは良いではないか。・・・ってあれ?君は今回の集会の主役君じゃないか。なんだなんだ詩依からねぎらいの言葉をいただいているのかな?」
「あ、俺は呼び出されて反省文を・・・」
「詩依、主役君に反省文を書かせるというのはいったいどういう見解だい?集会は大盛り上がりだっただろ?集会後私のクラスは爆笑の渦に包まれていたよ」
「わたくしだって別に反省文の必要性なんてものは感じておりませんよ。ただセクハラ発言の数々の事実は消すことが出来ませんから、風紀委員会委員長として先生方にも納得していただくために反省文をと」
「相変わらず詩依は堅物だな。そんな体裁を取り繕ろうために主役君に反省文を書かせるなんて」
「体裁は大切です!法治国家は法があるから平和であるように、学園にも学園のルールがございます。それ以前にセクハラ発言は法にも触れるものです。そのような行為を野放しにしたとあったら風紀委員会全体の権威に影響が出るでしょ!!」
「まぁ、詩依は委員長になってからまだ1ヶ月も経ってないから体裁を気にするのは仕方ないか・・・、主役君、今回は運が悪かったと思って諦めてくれ」
「そう思うのでしたら羽藤さんの反省文を手伝ってあげてください。さきほどから全然進んでいないようなので」
「えぇ~嫌だよ、私は図書館で借りてきた経済論の本を読むためにここに来たのに。詩依が手伝えば良いだろ」
「わたくしが手伝っては意味がないでしょ!なぜ反省文を書かせようとしている張本人が手伝うのですか!それこそ本末転倒というものです!」
ばん!と机を叩いてしまった。
わたくしの声が会議室に響き渡る、幸いこの会議室には3人しかいない。
「まぁそれもそうか。主役君、今日は楽しいものを聞かせてもらったからお姉さんが特別に手伝ってあげよう」
「では先輩よろしくお願いいたしますね。わたくしも可能な限り早く帰りたいので」
「手伝ってくれるのは嬉しいのですが・・・先輩って風紀委員会の方ですか?」
「あら羽藤さんはたしか中等部から高等部への進学ですから先輩のことはご存知だとばかり」
「詩依、いくら白鷺学園が中高一貫校とはいえ中等部の生徒で高等部のことを知ってる生徒は少ないよ」
「あらそうだったのですね。先輩は先代の風紀委員会委員長の平春日(たいらのかすが)先輩です。わたくしを風紀委員会委員長に推薦してくださった方です」
「あら?意外って顔をしているね、まぁ気持ちは十分にわかるつもりだよ。私自身がそもそも風紀委員会って感じじゃないしね。でもね、私も1年の時に風紀委員長に任命されてね、詩依は私の1つ下だけど先々代は私の2つ上だったからそこは違うけど、本当に学園のことを考えて行動していた方だったんだ。私は2年に進級してすぐに委員長の座を詩依に譲ってしまったけれどそれでもこの学園で1番の権力者を経験しているのだよ、1年もやってないけどね」