「羽藤柳也さん、お忙しい中ご足労感謝いたします」
つんとした態度で挨拶をしてくる学園の鬼姫様。
機嫌が良くないように思える。やっぱりやりすぎたか。
「集会の効果は今後の経過を見るとして、貴方には形式だけでも反省文を書いていただきます。さすがに反省文がないと先生方も納得はしないでしょうから」
「・・・どうしても書かないとだめか?」
「わたくし個人としてはどうしてもというほどではありません。ですが学園の風紀を守る風紀委員会としてセクハラ発言ととられても仕方ない発言の数々を見て見ぬふりは出来ません。わたくしは今回の集会の報告書の作成と雑務をこなしておりますが、何か不明なことがあれば遠慮なく聞いてください」
気まずい時間が流れる。
鬼姫様は自分の机で黙々と報告書の作成をしている。
時計の音と鬼姫様が触る資料の音とキーボードを叩く音のみ。
俺に視線すら向けずに黙々と業務を行う凛々しい姿を見て、とても同じ学年だとは思えない。
「さきほどからこちらをちらちらと見ていらっしゃってますがわたくしに何か?」
俺の視線を感じたのか、視線をこちらに向けずに問いかけてくる。
「い、・・・いぇ」
「先ほどから手が止まっているようですけど可能な限り早く書きあげてくださいね」
この会議室だけ温度が低いと錯覚するくらい凍りつく空気を感じながらの反省文。限りなく拷問に近い。