「お、今日は早かったな」
「あ、・・・柳也さん。本当にいらっしゃったんですね」
「まるで来ないと思っていたみたいな言い方だな、俺は嘘はつかないんだよ」
「にしても梨夜はよくあんなハードな勉強会をこなしているな、感心感心」
「私は・・・先輩から教わることが多くて・・・詩依さんから教わることはほとんどありませんが、あれくらい・・・なんということはありません、なんと言っても・・・受験生ですから」
「頭良いんだな」
「先輩たちの教え方が・・・上手いんですよ」
「ところで柳也さん・・・夕焼けにうるさいってどういうことだったのでしょう・・・」
「夕焼け?あぁあれか、夕焼けに点数をつけるくらい俺は夕焼けにはうるさいということだよ」
「・・・点数?ですか?」
「点数をつけるの意外と面白いんだよ、昨日は何点だった、今日は何点だった。毎日とは言わないけど気が向いた時に点数をつけて日々の変化を楽しむんだよ。俺は辛口だからなかなか高得点は出ないけどな」
「・・・それは本当に・・・楽しいのですか?」
「楽しいかは人しだいだろうけど俺は楽しんでいるぞ。まぁそれを教えた俺以上にのめりこんでいるのは梨乃の方だけどな」
「梨乃さんって柳也さんの幼馴染さんの?」
「そうだ、幼馴染の腐れ縁なだけだけどな」
「・・・それは嘘、柳也さん・・・幼馴染さんのことを話す時嬉しそう・・・」
「俺が嬉しく見えるってお前の目は節穴か?」
「・・・ふんっ」
私は事実を言っただけ。嬉しいことを隠すようにわざと幼馴染さんのことを悪く言う柳也さん。
本音を語るのは勇気がいるけれどだからといって大切な人を悪くいうのはちょっと違うと思う。
「そういえばさ、梨夜は知らないと思うから言っておくけどうちの学園の風紀委員会ってのは委員会ではなくて部活動に近いんだ。1年を前期後期に分けて委員会決めをするんじゃなくて、風紀委員会だけは部活動のように入部届けみたいな物を提出して審査される。審査するのはもちろん風紀委員会の委員長とその委員長と近しい人たち。委員長は権力があるけれど偏見で決めることはなく平等に審査する。そうやって入会した人たちが風紀委員会を名乗っているんだよ」
「部活動・・・ですか、私はてっきり委員会だとばかり・・・」
「普通はそう思うよな、まぁそれが普通なんだけどうちの学園だけが特別なんだよ。実績もあって推薦枠をくれる大学側からの信頼も厚い。学園の治安が良いのは風紀委員会のおかげ。風紀委員会という存在があるだけで治安が悪くならないくらいには存在感がある。だからせんこーたちも風紀委員会のメンバーには強く言えないんだ」
「そんなに力があるなら・・・風紀委員会の中で悪いことをする人も・・・」
「それはない。そんなことをしたらあの鬼姫様が黙っていない。風紀委員会内の悪事を裁くのは委員長の役目だからな。風紀委員会の生徒に対する注意と他の生徒への注意とでは重みが違う。風紀委員会を名乗ったら悪いことは出来ないんだ。鬼姫様は学園1怖いからな」
「・・・風紀委員会の・・・責任・・・」
「そんな学園1怖いと言われている鬼姫様のところで勉強をしている梨夜はすごいと思うぞ、もっと自信を持つべきだな」