「でね、化学反応式は数学の方程式と一緒で左辺と右辺の原子の数を合わせることが大切なのだよ。もう少したらイオン反応式を教えるけどイオンの荷電子を覚えると反応式はずっと楽になるよ」
「・・・化学反応式って難しいですね」
「確かにこの単元は難しいね、でも考え方と化学式と荷電子の個数を覚えてしまえば後はパズルみたいなものだから化学の分野の中では楽な方だよ、植物とか火山といった生物分野と違って覚えることも多くないし」
「あら羽藤さん?貴方も宿題をなさっているはずですがさきほどから手が止まっていますよ?」
「いや、今日の宿題の内容が難しいんだよ」
「どれですか?見せてください。・・・・・・はぁ?なぜこんな例題で手が止まっているのですか?きちんと授業を受けてますか?授業中寝ているのではないでしょうね」
「・・・それは・・・その」
「はぁ、もう少しで雑務が終わりますからその後でわたくしが教えてあげます。きちんと覚えて帰ってくださいね」
こうして私は先輩から、柳也さんは詩依さんから勉強を教わることになった。
「もうだめだ、頭がパンクする」
「あら情けないですね、そんなことでは受験勉強の時に苦労しますよ」
「だってワークをやれば終わりかと思ったら1年の時の復習までやりはじめるんだから頭の中が・・・」
「まぁ詩依は手厳しいからな、諦めてがんばれとしか言えない。ただそろそろ受験勉強を意識するのは悪くないと思うよ、梨夜君の勉強も名目上は受験勉強だからね」
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・・・
「さて、そろそろお茶の時間にいたしましょう。お茶を飲んだら下校時間になるでしょう」
隣でぐったりしている柳也さんがいる。
「羽藤さんも梨夜さんも頭を使いましたから糖分補給はしておきましょう」
「詩依、さっきから羽藤君が動かないのだけどどれだけ手厳しくやったんだ?」
「覚えていることが少なすぎたからざっくり半年分くらい頭に叩き込んだだけですよ。こんな体たらくでは羽藤さんに梨夜さんの勉強を任せることが出来ないではないですか」