「また明日もいらっしゃるのでしょ?明日も待っておりますね」
「え、あぁ・・・はい、詩依さんたちがよろしければ」
「良いも悪いもそういう約束ですもの」
「・・・約束?ですか」
「えぇ、羽藤さんから勉強を教えてほしいとお願いをされていて、対価も受け取っておりますから」
「ぁぁ・・・そうだったのですね」
このあたたかい時間はお願いされて作られた時間だったのですね。
・・・ははは、一人で舞い上がって私って馬鹿ですね。
「ときに梨夜君、君は人の心がわかるというのは本当なのかい?」
「え?・・・知っていたのですか?」
「そりゃまぁ知らないわけないだろう、風紀委員会の情報網というよりお姉さんの情報網をあなどってはいけないよ」
そうですか・・・、私の力を知っていながらわざわざお付き合いしてくださった、と。
「梨夜君、力があるなら詩依の心を見てみなよ。詩依も本音を言わない困ったやつだからな」
「先輩!いつも一言多いですよ!」
「詩依が本音を言ってないのは事実だろ?」
・・・出来るならこの力は使いたくない、常に意識して力を抑えている。
「詩依、君は風紀委員長だからこの学園内での建前は仕方ないしそこはとがめない。しかしお茶会をした仲である梨夜君に対して本音で会話をしないのは失礼じゃないか?」
「・・・わかりました、わかりましたよ。お願いごとなんて関係なくまたお会いしたいと思ってます。貴女の力がどうとかは関係ありません。今日は先輩がほとんど教えていましたが今度は私が教える番ですからね」
「・・・??」
「ですから!明日もまたいらしてください!校門の前まで来たら風紀委員長に会いに来たと言えば大丈夫です!また明日お待ちしてますからね!これで良いのでしょ!」
「・・・っ」
また涙が流れていた。
また明日、その言葉が尊くて。
誰にでもかけられる当たり前の言葉だけれど、また明日なんて聞いたのはどれくらいぶりだろう・・・。