梨夜を無理矢理学園内に連れて入る。
不登校だった梨夜も学校に行き始めたらしく放課後に学園の校門前で待ち合わせをしていた。
周りのやつらがもの珍しそうに視線を向けてくるが無視だ無視。
その視線を受ける梨夜はもう完全に萎縮してしまっている。
出会った初日のあの独特な雰囲気はどこにもない。
「初めましてわたくしは風紀委員会委員長の三枝詩依です。本日より貴女に勉強を教えることになりましたのでよろしくお願いいたいます」
「あ、あの・・よろしくお願いいたします」
「挨拶も大切ですが名乗られたらまずは名乗り返すのが礼儀ですよ」
「はっ!椿梨夜です、・・・ごめんなさい!!」
「ふぅ、挨拶の途中で謝るのはナンセンスです」
「ご、・・・ごめんなさい!」
「羽藤さん?貴方はこの方に何か良くないことでも吹き込んだのですか?非常におびえてらっしゃいますが?」
「俺がそんなことするはずないだろ、人見知りなだけだよ」
人を殺せそうな視線で俺をにらんでくる、こえぇよ。
「そうですか、貴方ならあることないこと吹き込んでいそうですが・・・、本人がそうおっしゃるのでしたら良しとしましょうか」
「あのぉ・・・勉強を教えていただけるのはとても嬉しいのですが・・・知らない人を学校に入れるのは大丈夫なのですか?」
「そちらは心配ございません。わたくしの権限でどうにでもなりますから。学園の先生方にもわたくしから説明はしてありますし」
「は、・・・はぁ」
「梨夜安心していいぞ、この方は学園では鬼姫様と呼ばれていてせんこーでさえ意見出来ないくらいすごい人なんだ」
「羽藤さん!貴方は余計なことは言わないでください!それに先輩と貴方以外から直接鬼姫なんて呼ばれたことなんてありません!」
「・・・あのぉ・・・柳也さん?・・・ひょっとしなくても・・・怖い方なのですか」
怯える梨夜。確かに鬼姫様は怖いんだがそんなに怯えていると俺が何かを吹き込んだように思われるからやめてほしいんだが。
「まぁ悪いことさえしなければ大丈夫だろ、たぶん」
「わたくしがいつも怒っているみたいな言い方をしないでください!」
「じゃ、じゃあ俺は帰るからな」
「はぁ?連れてきた張本人の貴方がどうして帰るのですか?」
「勉強の邪魔かなっと思って」
「・・・それは・・・嘘」
ぼそっとつぶやく梨夜、さすがに嘘を見抜かれたようだ。
だって鬼姫様が怖いなんて口が裂けても言えないだろ。
「柳也さんは・・・詩依さんが怖いから・・・帰りたいと・・・」
あ、こいつ!!
おそらく1人取り残されたくないとう防衛反応で力を使いやがったな。
「ほぉ、それは事実なのですか?わたくしのどこが怖いのか後日日を改めゆーーーくり教えていただけませんか?後日でかまいませんし、わたくしの予定はすべて調整いたしますから、ね☆」
満面の笑顔で問いかける鬼姫様だけど、目がまったく笑っていないんですが・・・。