「これより事前集会を始めます」
会議室の空気が張りつめるのを感じる。
「ではまず3年の先輩方の意見を聞きたいと思います」
「は、はい、まずは用意された資料を見てほしく思います」
・
・・
・・・資料に沿って説明が始まる。
が、つまらない。皆は懸命に説明を聞いているのですが。
「そこまでで結構です」
「は?ですがまだ続きが・」
「資料に書いてあることを延々と話すだけなら資料を読みこめばいいだけの話です。皆様が集まるこの場では時間の無駄とまでは言いませんが、資料に書いてないことを端的にお話くださいませ」
「ぐ、」
わたくしが学園の鬼姫と呼ばれている理由の一つに効率主義というものがあります。
風紀委員会の生徒以外から恐れられるのは当然として風紀委員会内からも恐れているのです。
「皆様よくお聞きください。資料に目を通すのは当然のことです。わたくしは資料にない補足部分を確認したいのです。学園をよりよくしたいと思う気持ちは皆様と一緒ですが時間は有限です。貴重な時間を割いてくださる皆様のためにも有意義な会議にしたいとわたくしは思っております」
・
・・
・・・皆様が皆恐る恐る発表をしていく。
先代がそうだったようにわたくしも実力主義に重きを置いている。
学年が上だからとか、学力が上の方の意見だからそれが正しいとは思いません。
突拍子もない意見でも実行出来る可能性、成果が見込めるではあれば1年生の意見でも受け入れます。
学園のために出来ることを考えた結果出された意見であるならば尊重します。
先輩だから偉いとか、学力がある方の意見が正しいとは思わない。
その辺も皆が強張りながら発表していく理由の一つ。
完全な実力社会、わたくしは先輩達に対しても容赦なく食いついていく。
これが学園のためになるのなら、と。
学園をよくすることに学力は必要ない、それを示してくださった方のためにも。
「では今月のテーマは1年の貴女の意見でいこうと思います。反論のある者はおりますか?」
「え、でも先輩方の意見の方が現実的で・・・」
「たしかにあなたの意見はまだ荒削りです。方法も決して具体的とは言えません。ですがわたくしはあなたの意見に可能性を見出したのです。風紀委員長の太鼓判、貴女はもっと自信を持ちなさい」
「はい」
午後の授業を潰してまで行った事前会議、まぁ多少は有意義だったと思います。