私は蜘蛛。
糸にかかった綺麗な蝶を眺めながらそっとつぶやく。
君はどうしてそんなに怯えているの?
これから迎えるであろう君の最期に?
それとも醜悪な私の姿に?
必死にもがく蝶はまるでまだ逃げられると思っているかのよう。
ふふふ、一度私に捕まったならもう逃げられるわけなんてないのにね。
そんなこともわからないなんて本当に可哀想。
わかっていても逃げようとしているのなら本当にこっけい。
やがて蝶は逃げることを諦めたかのように動かなくなる。
君は知らなかったのかな?
ここが危険な場所だということを。
君は誰もがあこがれる容姿を持ちながら危険な場所に踏みこんだ。
興味本位か無知ゆえか。
綺麗な君が醜悪な私に捉えられるなんてこっけいね?
素敵な世界に生きたあなたのことは覚えていられる範囲で覚えておくことにするわ。
さようなら。
次に生まれ変わっても綺麗な容姿である君であることを願っているわ。