「 暑い… 」

何をされているかよりも先に

耐え難い暑さを感じてしまった

そしてその瞬間に奏翔を感じた

「 お前一言目にそれは無いだろ 」

「 はははっ、だって暑いんだもん 」

凄く嬉しくて 凄く楽しくて

別になんてことない会話なのに

昨日の同じような会話とは

比べものにならないくらい

色んな感情で満ち溢れていた

「 俺がなんで今告白したか分かる? 」

「 え、全然分かんないけど、なんで? 」

「 もう我慢出来なくてさ 」

「 何を…… っ 」

『 俺を好きそうなお前に気付かないフリすんの 』

耳元でそう囁く奏翔は

夏の日差しに照らされて輝いていた

なんだ、バレてたんじゃん…

「 かなとのバカ!知ってたんじゃん 」

「 だって幼なじみなのに勘違いだったらめっちゃ気まずくなるしそんなんやばいだろ 」

「 私たちもう幼なじみじゃないんだね 」

「 末永く頼むよ俺の彼女さん 」

イマイチ彼女という実感は持てないけど

ずっと気付かないフリをしていた相手からの好意を

真っ直ぐに受け取って喜べる

そして真っ直ぐに自分の気持ちを伝えられる

そんな関係性になれたことが嬉しかった

「 浮気したらまじぶっつぶすから! 」

「 何言ってんだよ付き合ったばっかだぞ 」

プールに行くのがすごく楽しみだったのに

私は浮かれて 気分ルンルンで

坂を下った後 駅に着くまでに

目的地を忘れて奏翔に笑われた

「 お前ばかじゃん、可愛すぎ 」

そんな奏翔がかっこよくて

「 …好き 」

離したくない 心からそう思った