「 ひーまーりー!!! 」

大声で私を呼ぶちょっと低い声
この声は 奏翔 ( かなと )だ

背景にはセミの音
扇風機に揺られる白いカーテン
寝起きの暑さにちょっとベタっとした肌

「 これだから夏は嫌なんだよな… 」

そりゃ夏祭りもプールも好きだけど
もう毎日暑すぎて耐えらんないよ

「 ひまり!今日プールだぞ!早く起きろ! 」

え?!待ってそうじゃんプールじゃん!

死にかけの思考回路が
渋滞しながら少しずつ進み始め
私はようやく着替えを始めた

「 かなとご飯食べたの? 」

「 暑くて食べる気しないから向こうでなんか買おうかなって感じ、ひまりも食べないっしょ 」

「 私はトマトジュースだけでいいや 」

そう言いながら準備を淡々と進める

前日から用意しておいたプールバッグは
枕元に置いておいたし

プールだからメイクも薄目でOK

お金とスマホと鍵だけ持って完了!

「 かなと出来た!行こー! 」

「 おう、早く早く! 」

私たちは駆け足で家を出た