「そだね〜恋したことない香織ちゃんっ」
「なんか煽ってない?」
「ぜーんぜんっ」
この会話も昔から何回もしてたけど、まさか"恋したことない香織ちゃん"がこの日で終わるなんて。

「ねね、そこのお花屋さん、寄ってみない?」
「本気?」
「な〜んか1回行ってみたくって!時間あるし」
美來はすごい冒険家タイプだと思う。行ったことないところなんて、私は行けないタイプ。ましてやあんな古そうなとこ、怖さまで感じる。今まで、ただでさえ人見知りの私の世界を広げてくれてたのは美來だし、それで怖い思いをしたことなんて1度もなかったから、今回も信じて行くことにした。

ドアを開けるとそこには、さっきとはまた違った"不思議の国のアリス"の世界があった。