別れてから気付いたことが、山ほどあった。
会いたいと何回思ったか。会えないのくらい、分かってるのに。

君はあの日の僕を望んだだけ。

香織ちゃんと撮った写真は、今も全部写真フォルダーにきっちり整理してある。
時が経ったら癒えると思ってた傷は今もそのままだ。

きっと僕は、ずっと香織ちゃんのことを忘れられずにいるだろう。次の恋なんて考えられないし、考えたくもない。

仕事の帰り道、聞き覚えのある声がした気がした。
「レンくん、大好きだよ。」
「俺も好きだよ。」
そこにいたのは高校生のカップルだった。昔の自分たちと重なる。無邪気な彼女の声は、香織ちゃんによく似ていた。彼氏の方はどっちかっていうと見た目はチャラそうだったけど、彼女に対する笑顔はこれでもかって言うほどの優しさに溢れていた。