「未知!」

「那奈!こっち!」


学校の近くの駄菓子屋前。

山本くんと帰るときの解散地点で未知と待ち合わせた。

私は未知の後ろを自転車をこいでついていく。

どうか、間に合いますように。


「確か、この辺・・・あ、あそこ」


未知が指さしたところには、確かに“山本”と表札がかかった一軒家があった。


「私はここで待ってるから、行っておいで」


未知に背中を押され、私はインターホンを押す。

中から『はーい』と声が聞こえて、すぐに玄関のドアが開いた。