部活にも、吹奏楽にも興味はある。

中学の頃は学校が小さすぎて、加えて指導できる先生もいなくて、吹奏楽部なんてなかった。

あったのは水泳部、陸上部、書道部、美術部、コーラス部。

見事に個人競技の部活勢ぞろいの中、奇跡的に存在していたコーラス部。

大きな学校の吹奏楽部に憧れていた子たちはみんな、コーラス部に入ってた。

中学は原則全員部活入部だったから、もれなく私もコーラス部だった。

音楽が好きで、本当は吹奏楽部でパーカッションを担当して太鼓をたたきたい。

だけど、きっとお母さんが許してくれない。

私は勉強以外に興味がない子って思ってるから。

中学の頃の部活、楽しかったな・・・。


「お願いします」

「はい、1年3組の髙橋(たかはし)那奈さんね」


新しく借りる本を司書教諭の先生に差し出すと、まだ名乗ってないのに名前を言われた。


「え、なんで」

「だって、毎日のように来てるんだもん。そりゃ覚えるって。はい、どうぞ。気を付けて帰ってね」

「ありがとうございます。さようなら」

「はい、さようなら」


先生の微笑みを受けて、私は図書館を出た。