そう、私は今まで前髪を作ってなくて、前髪と横の髪が同じ長さだった。

だけど、なんとなく髪型を変えたくて、横と後ろの髪を切るついでに前髪も作ってもらった。


「そうだけど、湊だったら絶対気付かないよ」


私は、いつの間にか山本くんの前では湊を下の名前で呼ぶようになった。

きっかけは、多分期末の勉強を一緒にしたとき。

山本くんの前でなら、大丈夫な気がしたんだよね。


「え、湊ってそんな感じ?」


山本くんも、いつしか湊を下の名前で呼ぶようになっていた。


「そんな感じそんな感じ。優しくはあるし気も利くけど、そういうとこは気付かないよ。前に瑞穂も言ってたもん」

「まじか。めっちゃ意外」


確かに、普段の湊を見てたら、女子の細かい変化にも気づきそうだよね。


「似合ってるね」

「え、ほんと?」

「うん、ほんと。前もよかったけど、新鮮でいいと思う」