「瑞穂、土日って空いてる?」


私の唐突な言葉に、首を傾げながらこっちを見た。


「もちろん空いてるけど、どうして?」

「今日、クラスの男子に勉強に誘われたんだけど、さすがに2人でするとなると、お母さんにバレたときにややこしいなと思って。湊と瑞穂にも一緒にいてほしいんだけど・・・」

「あー、そういうこと。私はいいよ。あ、湊にも聞いとくよ」

「ありがとう。ごめんね、こんなこと頼んで」


私が謝ると、瑞穂は『何言ってんの』と私の左肩を軽くたたいた。


「髙橋家の家庭事情は私なりに理解してるつもりだし、私も那奈に勉強教えてもらえて助かるし」


瑞穂は右手でピースを作って見せた。

私の周りには、どうしてこうもいい人が多いんだろう。


「うん、ほんとにありがとう」

「いえいえ。あ、じゃあ、またね。あ、土日のことは湊に伝えさせるから」

「うん!ばいばい」


途中で井上家の前に着き、私は自転車にまたがりこぎ始めた。