「そうなんだ。あ、もしよかったら、一緒に勉強しない?」


突然の提案。

お母さんに言うのはちょっと嫌だけど、一人で勉強するより気分転換になっていいかもしれない。


「うん、私も一緒に勉強したい。だけど、うちのお母さんそういうのに厳しくて、私の地元の友達が一緒でもいい?」

「あ、全然いいよ。それって井上?」


あ、そっか。

山本くんが知ってる私の地元の友達って、湊だった。


「井上くんもなんだけど、他の子も。それならお母さんも許してくれると思うから。あ、でも、知らない子と一緒に勉強なんてやりにくいよね」


山本くんの立場に立って考えると、とてもじゃないけど嫌だと思う。


「俺は全然大丈夫。こう見えて人見知りしないタイプだから」


ニッと歯を見せて笑った山本くん。

私は思わず吹き出してしまった。


「山本くん、人見知りしなさそうだもんね」

「え、意外じゃなかった?」

「うん、全然意外じゃなかった」


山本くんは『そっかそっか』と、少し恥ずかしそうに笑った。