「あ、演奏聴いたよ。那奈もドラムデビューしたんだね」
「そうなんです。心臓バクバクでした」
夏休み、コンクールが終わると南先輩や美里先輩たち3年生は吹奏楽部を引退した。
それからはたまに校内で顔を合わせる程度だったけど、演奏聴いてくれたんだ。
「そうだったんだ。頑張ったね。あ、じゃあ戻るね」
他の店員さんに呼ばれた美里先輩は、軽く手を振り去っていった。
「那奈、このあとどこ行く?」
明花が私との間にパンフレットを広げる。
美術部や写真部の展示、文芸部による本の販売、スタンプラリーなんかもやってるんだ。
「行くとこ迷ってるなら、私たちのクラス寄ってよ。ちょうどこの後当番なんだよね」
楓先輩が言うと、隣の先輩も頷いた。
楓先輩のクラス“2-3”を探すと、写真スタジオになっていた。
「簡単なヘアメイクをして、映え写真が撮れるよ」
映え写真か・・・。
正直映えにはあんまり興味はないけど、写真なら思い出になるしいいかも。
「じゃあ、後で行きます」