「ただいまー」

「おかえり」

「那奈ちゃんは?」

「部屋で勉強してるよ」


私が部屋に入って15分くらい経ったころ、遠くでお母さんと世那の会話が聞こえて、お母さんが私の部屋に近付いてくる足音が聞こえた。

参考書とノートを開いた状態でスタンバイしていた私は、スムーズな手つきでシャーペンを持ち、問題の答えをノートに書いていく。

すぐに“トントントン”とドアをノックする音がした。


「はーい」

「那奈ちゃん、ただいま。勉強してたの?」


私のお母さんは、可愛い。

子どもの私が言うのもおかしいけど、ピンクや白が似合う、ふわふわした“清楚系”っていう感じ。

実際、今も春らしいピンクのコートを着ている。