今日は、私が通う高校の文化祭当日。
私たち1年生は模擬店を出すことはできないから、部活の出し物をしたり、ぶらぶら回ったりするくらい。
私と湊もさっきミニ演奏会の出し物を終えたところ。
「さっき見たよ。那奈、ドラムかっこよかった」
そう、私は初めてドラムを担当して、アニメの主題歌を演奏した。
「ありがとう。緊張した」
心臓がバクバクして、飛び出しちゃうんじゃないかと思った。
「お母さんも、那奈のことすごいって言ってたよ」
世那は私の耳に顔を近付けて、内緒話をするように小声で言った。
認めてくれたのかどうかは分からないけど、そんな風に言ってくれたのはうれしい。
「那奈、お待たせー」
「ううん。お疲れ」
湊と世那が話しているのをぼけーっと見ていると、後ろから来た明花に肩をたたかれた。
「行く?」
明花と一緒に色々見て回る約束をしてたんだよね。
「うん。あ、でも・・・」