「髙橋さん、ありがとね」


練習が終わったあと、山本くんは参加者一人一人にお礼を言って回っていて、最後に私のところに来てくれた。

泉と未知は、使ったキーボードを片付けないといけないから、先に音楽室に向かった。

私は椅子と机の復元を手伝っていた。


「あ、ううん。思ったより人数集まってよかったね」

「ほんとに。昨日はどうなることかと思ったけど」


こうして山本くんと直接話すのは、もしかしたら今日が初めてかもしれない。

だけど、いつも盛り上げる山本くんを知っているからか、思ったより普通に話せてる。


「変なこと聞いていい?」


山本くんが、急にうつむき加減になった。


「え、何?内容によるけど・・・」


私が言うと、何故かおかしそうに吹き出した。


「そりゃそうだよね。あのね、髙橋さんって、井上と付き合ってる?」


あ、デジャヴ。

つい一週間前に泉に言われたやつ。