「おー、瑞穂じゃん。コンビニに用?」
「いやいやいや。湊さあ、こんな暗い中で那奈を待たせないでくれる?」
湊は瑞穂の剣幕に押されてる。
「いや、だって、那奈は買い食いしたくないって言うから」
「違う!那奈は買い食いしたくないだけでしょ?中にくらい一緒に連れて入りなさいよ」
瑞穂、完全にお姉さんだなあ。湊は弟。
双子でも、ちゃんとその構図はできあがるんだ。
「瑞穂、私は大丈夫だから。コンビニに用事だったんでしょ?」
「あ、うん。あ、那奈もあんまり遅くなれないよね。ごめんね、引き止めて」
「ううん。行ってらっしゃい」
瑞穂は“ごめんね”と私に両手を合わせて見せながらコンビニに入っていった。
「じゃあ、私帰るね」
「あ、じゃあ俺も」
湊が自転車のかごに肉まんを入れようとしたから、私は首を横に振った。
「湊は瑞穂を待ってあげて。歩きだと危ないでしょ」
「あー、分かった。那奈も気を付けて」
「ありがと。また明日ね」
私は湊に軽く手を振って、自転車をこぎ始めた。