「なー、やっぱ肉まん食べたい。俺だけ買うから待ってて」
湊はそう言って、私たちの地元にある唯一のコンビニに立ち寄った。
隣町との境目にあるから、私の家からは自転車で20分くらいかかる。
「あ、那奈!やっほー」
聞き慣れた声に反応して振り返ると、そこには瑞穂がいた。
「瑞穂!夏休みぶりだね。元気?」
「元気だよー。どうしたの?入らないの?」
瑞穂は不思議そうに言って、すぐに私の自転車の隣にある自転車に気が付いた。
「あー、湊を待ってるんだ」
「そう」
「もー、那奈をこんな暗い中で待たせて、危ないじゃんか」
瑞穂は両頬をふくらませて怒っている。可愛い。
ちょうどそこに、両手であつそうに肉まんを持っている湊が戻ってきた。