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「髙橋、帰ろうぜー」
今日もまた、湊が声を掛けてきた。
「うん、今片付け終わったとこ」
「肉まん買って帰らない?」
「買い食いはだめだって」
生徒手帳に、そういう校則が書いてあったもん。
「相変わらず真面目だなー」
「うるさい」
「あ、そういえばさ」
湊が鞄から自転車の鍵を出すのを見て、私も同じように鍵を出す。
「明日の合奏なくなってよかったよなー」
そう、顧問の藤澤先生の配慮で、明日の合奏はなくなった。
山本くんは野球部だからまだ言えてないけど、明日の朝には言わないと。
あれ、野球部は明日の練習あるんじゃないのかな。
「うん、ほんとよかった。でも、うちのクラスは練習の人数集まらないかも」
「まじかー。みんな塾とかあるもんな」
「そうそう。私たちだって、合奏があったら参加難しいし」