「どうしよっか・・・」


部活は今、コンクールの直前って訳ではない。

でも、半月後に控えた文化祭で演奏する曲の練習をしているし、並行してコンクールの練習もしている。

そんな中、『合唱コンクールの練習で遅れます』なんて、連絡黒板に書きにくい。


「山本、悪いけどパス」

「私も部活なんだよね」

「ごめん、私は塾があって・・・」


こうしている間にも、山本くんの周りには欠席を伝える列ができている。

山本くんは口では『大丈夫大丈夫。俺が急に言い出したことだから』って言ってるけど、明らかにしょぼんとしている。


「あの列に並ぶ勇気はないよね」


未知の言う通り。

あそこに並ぶ勇気は出ない。


「私が南先輩に伝えるよ!」


いつもの勢いですごいことを言う泉。

私は未知と顔を見合わせ、“ないない”と顔の前で手を左右に振る。


「山本には悪いけど、今回はパスさせてもらおう」

「え、今回断ったら、もうチャンスはないかもしれないんだよ?」


あ、始まる。


「だって、合唱コンクールの予選は、来週の月曜日でしょ!?そこで学年代表に選ばれたらまた練習できるけど、そうじゃなかったら、もう練習できないんだよ?」