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「髙橋、帰ろーぜー・・・あれ?」


スクールバッグをリュックみたいにして、持ち手部分を両肩にかけた湊が音楽室に入ってきた。


「居残り練習?」

「うん。ちょっとだけやって帰ろうと思って」


先輩たちはとっくに帰って、パーカッションは私一人。


「どのくらい?待つよ」

「え、いいよ。遅くなるかもだし」

「いやいや、それなら尚更待つよ。一人で帰るの危ないし」


どうしよう。

泉にあんな風に言われたから、しばらく湊と距離を置こうって思ったのに。


「どした?なんか変じゃない?」


近くにあった椅子に腰かけると、上目遣いで私を見上げた。


「別に、変じゃないと思うけど」

「いや、変だよ。なんかあった?」


あー、やだやだ。内緒にできないじゃん。


「なんかっていうか・・・」


私は、昼休みに泉に言われた一部始終を話した。