「それは、帰る方向が一緒だからだって。言わなかったっけ?地元が一緒なの」
「え、それは初耳」
ずっと黙って聞いていた未知が久しぶりに口を開いた。
未知、右の頬にご飯粒がついてるよ。
今度は、明花が教えてあげている。
「うんうん、初耳!」
泉の声はいちいち大きい。
「それはごめん。幼稚園からずっと一緒なの。あ、でも、地元に幼稚園も小学校も中学校も1つしかないからで、同じ高校になったのも偶然」
「偶然って言いたいんだよね」
泉に遮られた。
「うん、偶然って言おうとしたけど」
「偶然な訳ないでしょーが!」
もー、泉は一体何を言いたいんだろう。
助けを求めるように明花を見たけど、ただ苦笑いを返されただけ。
「志望校決めるとき、ほんっとーにお互いどこを受けるか知らなかったの?」
「え、中学の同級生みんな知ってたよ。って言っても、同級生5人しかいないんだけど」
「じゃあ、絶対偶然じゃないよ!」