「太一は元気にしてる?」

「元気元気。またいつでも遊びに来てね。八重と双葉も会いたがってるし」

「ありがとう。また太一に連絡するね」


山瀬先生と別れ、職員室に向かって歩く。

産休のために休んでいるのは数か月前からなのに、既に懐かしく感じる。


「はー、それにしても不思議な縁だよね」

「そうですよね。私も未だに思います」

「山瀬先生って、高校のときどんな感じだったんだろう」

「主人によると、今のまま、自分の気持ちに素直な感じだったらしいですよ」


私の言葉に、真知子先生は『ふふっ』と笑いを漏らした。


「それは納得だわ」

「ですよねー」


太一くんの話によると、東京の高校ではあんまり友達は多くなくて、山瀬くんと、もう一人清水さんって女の子くらいだったって聞いてる。

付き合い始めたばかりの頃、『隠し事はしたくないから』って、卒業式の日に清水さんに告白されたことを教えてくれた。