八重と双葉は、仲が良い。

よく歳が近いと喧嘩が多いって聞くけど、ほとんど喧嘩はしない。

それに、八重は双葉のことをよく理解していて、何かと世話を焼いている。

親としてはすごくありがたい。


「今日の八重の顔はよかったなー」


一足遅れて洗面所から出てきた太一くんがビデオカメラをテレビとつなぎながら呟いている。


「そうやって太一くんが面白がるから八重が調子に乗るんだって」

「えー、だっていいじゃん。あんなことしてくれるのも今のうちだしさ」


確かにそうかもしれないけど。


「あ。もしもし?うん、そう。さっき双葉迎えに行って帰ったとこ。分かった」


スマホの着信に応答していた太一くんが、私にスマホを差し出した。


「母さんが那奈に代われって」


私はスマホを受け取ってスマホを耳に当てる。


「あ、もしもし。那奈です」

『あ、那奈ちゃん。入学式お疲れさま』