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“卒業証書授与式”の看板を見つめてぼーっとする。
そして、今度は自分の手の中にある筒を見つめる。
ほんとに今日で卒業なんだ。
1年半、短いようで長かった。
「あ、いた。山本!山瀬が一緒に写真撮ろうって!」
清水の声で我に返った。
顔を上げ、清水の姿を捉える。
清水の隣には、泣きすぎて目を腫らした山瀬の姿。
ほんと、適当に見えて全然そんなことなくて純粋な奴だなあ。
2人の元に駆け寄り、さっきまで見つめてた看板の横に立つ。俺の左隣には、頭一つ分背が低い清水。
俺の右隣は看板で、看板を挟んで山瀬が立っている。
写真を撮ってくれる俺と山瀬の担任の方を向いて、笑顔を作る。
「ねー、山本」
「ん?」
「・・・きだったよ」
「ん?ごめん、よく聞こえな」
「おい、山本、よそ見するなー」
担任の声で遮られて、再び顔を前に向ける。