俺だって山瀬と離れるのは寂しい。

こっちに来て初めて友達になれた人だから。

でも、だからこそ、山瀬にはちゃんと自分の人生を歩んでほしい。


「ん、分かった。ちゃんと決める」

「うん、それがいいよ」


山瀬の言葉に、ほっと胸をなでおろした。

俺は、春休み中、地元の大学をいくつか巡ってオープンキャンパスに参加した。

その中で、“ここに通いたい”って思える大学を見つけた。

地元に戻ることは、まだ湊にも言ってない。

ほんとは、湊に髙橋の志望校を聞いて、そこを受験しようかとも思った。

だけど、そんなずるい再会はしたくない。

ちゃんと、色んな準備を整えてから会いに行きたい。


「オープンキャンパス行ってみるかー」


山瀬がやっと、将来にちょっと前向きになってくれてよかった。

山瀬にも、俺みたいに通いたいと思える大学が見つかりますように。