「那奈ちゃんって、井上くんと仲いいの?」
私の隣に立ったのは、奈央子先輩。
奈央子先輩は背が高くて、170センチくらいあるから、144センチの私は必然的に見上げることになる。
「え、なんでですか?」
「だって、那奈ちゃんって人見知りでしょ?まだ1年の女子ともあんまりちゃんと話せてない様子だったから」
う・・・鋭い。
何で、私の周りにはこうも鋭い人が多いんだろう。
周りが鋭いんじゃなくて、私が分かりやすいだけなのかもしれないけど。
「あー・・・幼なじみなんですよね。幼稚園からの」
「え、幼稚園から一緒なの?」
「はい。私の地元って、幼稚園も小学校も中学校も1つしかないんで、基本的に中学卒業まで同じメンバーなんです」
だから、高校まで一緒になっても、それは単なる偶然で、運命的な感情は一切ない。
「はー、なるほどねえ」
奈央子先輩は胸の前で両腕を組み、納得したようにうなずいている。