『も、もしもし』

「もしもし。髙橋?」

『うん』


髙橋の声、緊張してる。

そりゃそうだよな。

夏休みに一方的に電話して以来だし。

俺の声も自然と高くなる。


「ごめん、急に電話して」

『ううん、大丈夫。あ、明けましておめでとうございます』

「あー、うん、おめでとうございます」


髙橋が髙橋のままで安心する。

こういうときもちゃんと挨拶をするとこも好きなんだよな。


「髙橋、俺、今まで知らなくてごめん」

『え?』

「夏休み、俺が電話したあと、家に来てくれたって、さっき知った」

『あ、ううん、全然。会えないかもって思いながら行ったから』

「ごめん。さっき母さんに聞くまで知らなくて・・・」


やべ。言いながらめっちゃ落ち込んできた。

髙橋、この約5か月間、どんな気持ちでいたんだろう。

俺のこと、幻滅してなかったらいいけど。


『山本くん、元気?湊から聞いたよ。帰宅部だって』

「あー、うん。元気。帰宅部だから、嫌でも勉強する時間がいっぱいあるんだよね。めっちゃ暇」