俺が今、受験しようと思っている大学は、転校する前から受験を考えていた大学。

転校する前はぼんやりと行きたいなーと思っていた大学だけど、今は違う。

明確に、絶対に行きたい。

行ってどうなるか分からないし、俺の目的は果たせないかもしれない。

それでも行きたいと思ってる。


「え、もしさ、その大学に落ちたとしても、やっぱ前のとこにある大学には行くの?」

「そんなこと言うなって」


俺は笑いながら軽く山瀬の肩をたたく。


「そのつもりだよ。浪人してでも、前のとこには戻る」

「そんな明確なんだ。何で?」

「うーん・・・」


改めて人に訊かれると、答えに困る。


「状況確認?」

「何それ」


山瀬は頭に『?』をたくさん浮かべた顔をした。

当然だよな。俺の言葉が足りなさすぎる。


「ごめん。今はまだちゃんと説明できる自信がない」

「そっか。分かった」


納得はしてないだろうけど、それ以上は訊かないでいてくれるみたい。

山瀬のこういうところには助けられる。