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「進路希望調査出した?」
期末テストから数日。
昼休みに清水がミーティングに行くと、山瀬が口を開いた。
「あー、うん」
「まじかー。え、進学?」
「うん、そのつもり」
俺の言葉を聞いてなのか、山瀬はため息をついて机に突っ伏した。
山瀬はまだ進路決めかねてるのかもしれない。
「ちなみにどこ?」
突っ伏したまま言うから、声が少しくぐもって聞こえる。
「ちょっと遠い、かも」
「まじかー。何かしたいことでもあんの?」
実は、特別何かやりたいことがある訳ではない。
ただ、目的はある。
「行ってから決める」
「何それ。あー、でも、そういうのもありかー」
山瀬は顔を上げた。
余程悩んでいたのか、山瀬の顔が少し明るくなったような気がする。
「遠くって、具体的にどこ?」
「前住んでたとこ」
「まじかー。それは遠いな」
『あわよくば山本と同じとこ行きたかったなー』と呟いた山瀬に、少しうれしくなった。