「1つ下なんだけど、ちっちゃい頃から『たっくんたっくん』うるさくて」


清水は迷惑そうに言ってるけど、俺の中で何かが引っかかった。

清水、ちょっと悲しそう?

俺の気のせいかもしれないけど、もしかして清水って山瀬のこと好きなのかも。


「清水は山瀬のこと下の名前で呼んでないんだ」

「あー、うん。さすがに中学からは恥ずかしくなっちゃって、お互い自然に名字呼びになったんだよね」


髙橋と湊のことを思い出した。

あの2人も、周りに他の生徒がいるところではお互いのことを名字呼びしてた。


「山本は幼なじみいる?」

「あー、いないことはないけど、清水と山瀬みたいな関係の幼なじみはいないかな」


パッと浮かんだのは智哉だけど、智哉とは高校生になってからの付き合いだし、転校が決まってからちゃんと報告もできていない。


「あ、ミーティング行ってくるね」


時計をチラッと見た清水は手早く弁当箱を片付け、教室を出ていった。

野球部のマネージャーと顧問で毎日昼休みにミーティングをしてるって聞いたときにはびっくりした。

俺のとこも知らないだけでしてたのかな。