嵐のような二人だったと思いながら、朝よりも気持ちが軽くなっている自分がいるのに気が付いた。
元々そんなに人見知りはしない方だけど、さすがに高2のこの時期の転校は憂鬱だった。
一花にも同じような人ができているといいんだけど。
廊下にいる人が少なくなっているのを確認し、職員室に向かうために鞄を持って教室を出る。
「お、山本、こっちこっち」
職員室の入口で名乗ると担任が手を挙げてアピールした。
担任の机の上には大量の教科書。
「制服とかは家に届くように手配してあるから届くまでは前の学校のを使ったので大丈夫だから」
「ありがとうございます」
「じゃあ、気を付けて帰れよ」
「はい。さようなら」
ずっしりと重たい紙袋を持ち、担任に会釈をして職員室を出た。
前の学校の制服を着ている俺は浮いている。
一目見て転校生だと分かるから、注目を集めているのが分かる。
制服が今日届いてくれたらいいのにと思うけど、急に決まった転校だったからそれも仕方ないんだろうな。