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「なー、髙橋」


ゴールデンウィークの休日に挟まれた平日、放課後の部活を終えて楽器の片づけをしていると、湊がやってきた。


「何?」

「5日、1年で遊びに行こうって話が出てるんだけど、どう?無理にとは言わないけど」


ゴールデンウィーク中、5月5日のこどもの日だけ、部活が休みになる。


「あー・・・どこに行くかって決まってる?」

「まだ決まってないけど、多分ゲーセンとかカラオケとか」


頭の中に、お母さんの顔がちらつく。

図書館だったらいいって言うだろうけど。


「だったら、駄目だ。ごめん。みんなで楽しんできて」


渋々だけど部活を許してもらって、まだ数日しか経ってないのに友達とゲームセンターやカラオケに行くなんて、とてもじゃないけど言えない。


「やっぱそっか・・・。おっけ。みんなには俺から言っとくな」

「うん。誘ってくれてありがとう」


私の言葉に軽く口角を上げ、湊は自分の楽器を置いていたピアノの近くに戻った。