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「山本太一です。よろしくお願いします」


自己紹介を終え、明らかに新しく付け足された廊下側の一番後ろの席に案内された。

前の学校と同じ席。

ここの窓を開ければ、通りかかった髙橋に声を掛けられた。

父さんと2人で一足先に東京に出発する直前、髙橋に電話を掛けた。

いつもと変わらない髙橋の声を聞くと気持ちが揺らぎそうで、一方的に俺の気持ちだけを伝えた。

髙橋には幸せになってほしい。

でも、いつかその相手が俺になってくれたらうれしい、という俺のわがまま。


「あー、山本、帰る前に職員室寄ってな」

「あ、はい」


始業式後のホームルーム終了後。

早速担任に呼び出された。

急に決まった転校だったから、学校側もバタバタだったんだろうな。

担任が出て行った教室は途端にざわざわして、友達同士で一緒に教室を出て行っている。

当たり前だけど、2年の2学期を迎えた今日、グループは完全に出来上がっている。