「ありがと。めっちゃうれしい。大事に食べる」
「あ、うん。どういたしまして」
お礼の言葉を言うと、髙橋は安心したように笑った。
あー、愛しいってこういうことを言うんだろうか。
きっと、髙橋の中で俺はまだそういう対象ではないんだと思う。
俺としては早くそういう対象として見てほしいっていうのが本音だけど、急ぐ必要はない。
だって、確実に髙橋の中で俺の存在は大きくなっている訳で。
そうじゃなかったらバレンタインにチョコなんかもらえなかった。
今は、これだけで十分。
髙橋に無理をさせない、徐々にゆっくりでいいんだ。
それでも、髙橋が俺じゃない誰かと付き合うことになったとしたら、そういう運命だったってことだ。
その夜、俺は大事に大事にクマの形をしたチョコを味わって食べた。